「超競争」時代で企業が生き残るには
バブル崩壊から2000年代前半にかけて、収益力や資本効率を大きく回復した日本企業は、現在、新たな課題に直面しています。それは、10年前の世界市場とは大きく異なる「超競争」時代での生き残りあるいは勝ち残り戦略を、どう練り上げるかです。
「超競争」とは、顧客、サプライチェーン、資本市場という3つの側面で統合されつつある世界市場における覇権を目指して、国際的巨大企業による寡占化が進んでいく現象です。そして欧米先進国に加え、新興国からの新たな企業が加わった大競争でもあります。日本企業の多くは「超競争」の波に取り残され、国際経済におけるポジションも年々低下しています。
「超競争」の世界市場とどう向き合い、自社のポジションをどのように再構築していくか。さらに、企業の内なるグローバル化をどう進めるか。一方で、長期的な縮小トレンドにある日本市場で、業界再編の勝ち組として生き残り、コア事業の収益力をいかに高めていくか。
これらのテーマへの取り組みのあり方が、企業の将来の姿を規定するとともに、業界、さらには日本の未来を左右すると言っても過言ではありません。
僕は、日本が大好きな国粋主義者です。
僕は日本に思い入れが強いからこそ、日本で仕事をしていますし、クライアントも日本企業がほとんどです。その想いが高じたからこそ、経産省の成長戦略策定の支援もしました。文化産業の分野は、はっきり言ってビジネスとしてはやっていけないんです。ファッション産業にも外食産業にも大きな企業はあまりないですから、コンサルフィーを払える会社は限られています。それでもやはり、日本として世界に打ち出していくチャンスがあるなら、是非ともやりたい!と思うのです。
僕は、自動車メーカーでマーケティング・営業を経験した後、1990年代の4年間、経営コンサルタントとしてアメリカの現地企業の改革に携わり、アメリカの経済の復活を目の当たりにしてきました。そして1990年代後半、「失われた10年」と呼ばれる時代に日本に戻ってみると、かつては華々しかった日本の大企業の数々が苦闘している様子を目の当たりにしたのです。
以来、「日本の企業をグローバル競争で勝ち残れる会社にすること」そして「日本企業に誇りと夢を取り戻すこと」。様々な経営課題に取り組む中で、この2つ想いを、クライアントやスタッフと共有しながら、クライアントの経営改革と成長戦略をサポートしています。
梅澤 高明(うめざわ・たかあき)(A.T.カーニー日本代表、グローバル取締役会メンバー)
東京大学法学部卒業後、マサチューセッツ工科大学でMBA取得。日産自動車を経て、A.T.カーニー(ニューヨークオフィス)に入社。現在はA.T.カーニーの日本代表、兼グローバル取締役会メンバー。テレビ報道番組のコメンテーター、経済産業省「産業構造ビジョン2010」策定支援(文化産業立国、インフラ輸出)、経済産業省「クール・ジャパン官民有識者会議」委員。