青山フラワーマーケット、成功の理由とは？

青山フラワーマーケットをはじめ、僕が会社経営で大事にしているのは「５つの資産」というものです。なかでも一番大切にしているのが、形の見えない「こういう仕事をしたい！」というSpirit（様々な想い）。この部分を何よりも一番の柱にしていると、次に自分の想いに対して共感してくれるPartner（仲間）という資産が生まれていきます。共通する強い想いを掲げた人材が集まるようになっていけば、当然良いShop（店舗）も生まれていきますから、Customer（顧客）も自然と増えるようになる。そして、これらのサイクルが最後の資産であるFinance（＝業績）に繋がっていくというイメージです。

では、実際に、僕はどんな想いを大切にしているか。それは「チャレンジし続けて、成長し続ける」ということです。例えば、僕の会社では「他の真似をすること」をタブー視しています。人の真似をすれば無難に商売をすることはできるかもしれません。しかし、新しい商品を作ったり、人の先を走ることは絶対にできない。重要なのは、「失敗しても、その分だけ大きく成長ができる」という気持ちで、とにかく新しいことにチャレンジして、足を止めずに歩み続ける姿勢なんです。

また、社内でよく言っているのは、「何のために生きているのか」という問いを大事にすることです。仕事をする期間というのは、人生のスパンの上ではほんの一部でしかありませんよね。だから仕事の意味を考えるよりも前に、まず「生まれてから死ぬまで、自分は何を目指していくのか」を明確に考えたほうがいい。そのあたりがはっきり見えるようになると、仕事はもちろん普段の生活のなかで解けなかった課題が、簡単に乗り越えられるようになるんです。

失敗こそ、アントレプレナーの原点

僕が考える人生の意味は、「自分を磨き上げる」ことです。人生をかけて、どこまで自分を高い境地に持って行くことができるのか―。と、考えると、僕にとって仕事とは、人生を磨き上げる砥石です。花屋の経営で自分を磨いても、料理で自分を磨いても構わない。仕事がスポーツでも政治でも何であっても、70、80代になって仲間同士で酒を飲んだとき、違う土俵で戦う誰かのすばらしい話を聞きながら「…それ、俺もよくわかる！」と身を持って共感できる男でいたいな、と思ってます（笑）。

最後に、僕は２つのトライアスロンチームを持っているんですが、そのひとつは一部上場企業の社長たちが集まるチーム、もうひとつはアントレプレナーが集まるチームなんです。この２つのチームそれぞれで1.9kmの水泳と90kmのバイク、ハーフマラソンをする「ハーフ・アイアンマン」に出ているんですが、２つとも個性があって非常に対照的なんですね。というのも、社長のチームというのは最初は２人ぐらいしか出場しないんですが、その両方が確実にゴールするんです。でも、アントレプレナーのほうは参加人数こそ10数人も参加するものの、最初の年は誰ひとりゴールできない（笑）。でも、翌年になると、前年の経験を活かしてその中の数人は完走できるようになるんですね。そして、その後も年を重ねれば重ねるほど、完走する参加者の割合が増えていくんです。

僕はこれこそアントレプレナーだと思うんです。どんな仕事でも最初の一代目は失敗ばかりだったと思うんです。でも、「どうせゼロからやっているんだから」という気持ちで、ガツガツ仕事をしていく。その結果、失敗からたくさんのことを学んで、大きく成長していくんですね。

何のために生きるのかを考えたとき「自分を伸ばしたい」と思うようなら、起業は本当に面白い。大変な人生ほど面白いことはないですからね（笑）。