グローバルの中のローカル
今まで2社のグローバル企業で働いてみて、良かったなと思うことは、常に世界とつながっているという実感があることで視野が広がったことと、世界から見る日本・日本から見る世界と複数の視点を持つことができるようになったことです。
海外とやりとりすると国の隔たりを全く感じず、同じ地球に住んでいる仲間として扱われます。各国から同じサーバーにアクセスして情報を共有したり、面識は無いけれど同じ職種の人にコンタクトしてデータをもらったり、アトランタにある本社から「来週までに○○のアイディア募集!」と気軽に(?)宿題が出たりします。英語はそれほど得意ではありませんが、案外相手は全く気にしていないので「海外」と壁を作らずとりあえずやってみると何とかなりますし、日本がどう思われているのか、世界は日本の何に関心があるのか、他の国では何が起こっているのか、タイムリーに感じることができます。
また、海外で作ったもの(こと)を受け取った時によく感じるのは、思い切りがよくダイナミックでスケールが大きいこと。逆に日本で作ったものはディティールが細かくよく作りこんでいるもの(こと)が多く、データの作り方などにも現れていて面白いなと思います。どちらも、良いもの(こと)を作るには必要な要素だと思うので、機会があれば海外の人と接点を持つこと、また海外に限らず東京⇔地方など少し環境が違うところにいる人とやりとりをして、気付きを得ると刺激になって面白いと思います。
ローカルからグローバルへ
日本発のブランドもたくさんあります。むしろ日本にいなければ出来ない製品、開発の仕方もあります。私が直近で担当しているものでは、「綾鷹」や「爽健美茶」、「い・ろ・は・す」といった日本で開発したブランドが台湾・韓国・シンガポールといった近隣の国でも販売されています。市場に出ている製品の数が圧倒的に多い日本ならではの、豊富な知見や綿密な分析に基づいて開発された製品は、海外での評価も高く、より多くの人に手に取ってもらうことができました。日本で成功したブランドは、特にアジア諸国からの関心が強いので問い合わせも多くすぐに拡がります。
ブランドを扱う職種なので特にそうですが、提供するもの(こと)はいつどこで誰が見ても同じクオリティー・同じ世界観でなければいけません。海外で創ったものを日本で展開するために守るべきことがある一方、日本で創ったものも海外で展開した時に守るべき要素があるので、資産を標準化したガイドラインを作ったり日本に送ってもらってチェックしたりもします。市場での影響力も大きいので国内外問わず「XX で見た○○が変だった」ということがないようにもちろん妥協はありませんし、常に客観的に捉えて見ています。ここは特に日本人が得意な分野ですよね。
世界に出て日本のことを伝える、日本から世界に発信する。人によって働き方や活動の仕方は様々だと思いますが、どこにいても何に携わっていても今自分ができることを妥協せず精一杯やり遂げる、そんなマインドが自分自身も成長させると思っています。そして、もっと日本発のもの(こと)をどんどん発信して世界に拡げていけるようにしていきたいと思います。
日本は、思っているよりもずっとずっと世界から見られていて興味を持たれていますし、コンテンツの宝庫だと思います!
原田朋子(はらだ・ともこ)(日本コカ・コーラ株式会社 マーケティング&ニュービジネス デザインイノベーション パッケージグループ マネージャー)
2000年 株式会社ユー・エス・ジェイ入社。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの立ち上げ業務全般及び商品デザインを担当。2004年 日本コカ・コーラ株式会社入社。パッケージデザインディレクションを担当。「ジョージア」「ミニッツメイド」の担当を経て、現在は「爽健美茶」「綾鷹」「太陽のマテ茶」「からだ巡茶」などお茶ブランド、「い・ろ・は・す」など水ブランド、新規市場開拓製品のデザインディレクションを担当。